男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
「スカイ」
あれから家に送り届けてもらい、お礼を言った。
メールしてと言われて頷いて、
普通に手を振って別れた。
未だに何が起きたのかわからないぼーっとする頭で、
ふらふらと家の中に入れば玄関に陽が立っている。
「おかえり、ことり。」
「お兄ちゃん...。」
さっきまでのぎこちない呼び方ではなくなっている事に気づき、
陽は驚く。
「あれ、ことり...。」
「記憶が戻ったの。」
そう言って微笑めば、彼はほっと息を吐いて良かったと笑った。
「ことり、何かあった?」
リビングに移動して妹に問えば彼女は恥ずかしそうに俯く。
「...楓に、」
「楓に?」
「告白、した。」
「え、」
陽は思わず硬直した。
「なんでだよ!」
「え、いや、あの、」
「楓を応援するって言ったけど、まだことりには早いだろ!」
「ちょっと、お兄ちゃん、」
突然豹変した兄に戸惑いつつも落ち着いてと言えばハァーと大きなため息をついた。
「...まあ、おめでと。」
「...ありがとう///」