男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
スタジオから、楓が家まで送ってくれた日に
突然自分と楓を携帯で写メってきた「スカイ」のファン。
2人は携帯をちらつかせながら、ことりを呼ぶ。
「こないだぶりね。」
まさか、同じ学校の生徒だとは思わなかった。
ごくり、と生唾を飲み込みじっとファンを見上げる。
「何か、ようですか。」
「これさぁ、一斉送信しようと思って。」
携帯画面に映し出されていたのは楓と自分が手を繋いでいる写メで、
ことりは動揺を見せる。
「送信されたくなかったら、楓と陽を紹介しなさいよ。」
「...無理です。」
「アンタだけのモンじゃないでしょ、調子に乗んないでよ。」
残っているクラスメイトがひそひそと会話をしながら自分を見てくる。
早く帰りたいと心底思った。
けれど写メを送信されるのはマズい。
どうしようか悩んでいると、ぐっとことりの胸倉をファンの一人が掴む。
突然の行為に、クラス中がシンと静まりかえった。
そして、頬を叩かれる。
パァン、と乾いた音が響いた。
やりすぎなんじゃあ、と心配する声があがったがファンはお構いなしで未だに動揺を
見せていることりを突き飛ばす。
「ことり先輩、一緒に帰り....ことり先輩!?」
ことりと一緒に下校しようとした彩乃が教室に姿を見せた。
ファンは彩乃の登場に舌打ちをする。
「大丈夫ですか!?」
頬をおさえてなんとか立ち上がったことりに駆け寄り、
心配そうな視線を向けた。