男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
*
「…どういうつもりですか。」
とある一室で、陽は目の前の人物を見た。
戸惑いを隠せず、じっと目の前の人物を見ることしかできない。
入口前には二人の警備員。ここからでることは許されない。
「説明して下さい、社長。」
空気が震えた。
陽の目の前にいるのは正真正銘、自分が所属している事務所の社長なのだ。
余裕を持って会場入りした時に突然スタッフに呼ばれて、案内されたのが今いる部屋だった。
目の前はガラス張りになっていて、そこからステージが良く見える。
社長はステージで踊るスカイをみて ハッハッハ! と豪快に笑った。
「たまにはいいだろ?陽クン」
「よくありませんよ!ちゃんと説明して下さい。どうして俺がここに呼ばれたんですか…それに、ことりをコンサートに出すようにマネージャーに頼むなんて、」
理解できません。
社長を睨むと、彼は陽を呼びコンサートを見るように言う。
渋々、陽はステージに視線を向ける。
「実はね、先日とある歌番組の監督から連絡が入ったんだよ。」
「…監督から?」