男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
五人から六人へと変わったスカイのコンサートは、
今まで以上に凄かった。
一人ひとりの個性が十分に引きでていて、
見たもの全員を圧倒させる。
『ことり〜!!』
ファンが彼女の名前を呼んだ。
ことりは驚いたが、すぐに笑顔に戻る。
口では説明できない程の高揚感が体全体に広がった。
*
「…俺の目は間違っていなかっただろう?」
「…来ていたのか。」
先程陽がいた部屋に姿を現した監督が、社長に話し掛ける。
「やはり、素晴らしいな。」
ステージを見ながら、監督は満足げに笑った。
「ああ。…君の目は間違っていなかったよ。」
あんなに生き生きとしているスカイを見るのは初めてだ、と社長は告げた。
「…これから、スカイはもっと上に行くだろう。
いずれは、世界にな。」
社長は否定せず、静かに頷いた。