男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
刹那、郁の顔が真っ赤に染まる。
え?図星?
クラスメイトは二人の様子を見て、ぽかんとしていた。
シンと静まりかえり、気まずい空気が流れる。
郁が堪えられなくなりばっと立ち上がるとことりの腕を掴んだ。
「えっ、ちょ、郁!」
もうすぐ授業が始まるのに、ことりを引っ張り教室をでていく。
掴まれている腕をなんとか振りほどこうとしたか無駄だった。
予鈴が鳴ったが、郁は無視して階段をのぼっていく。
そして屋上の扉を開けると、そこにことりを突き飛ばした。
「っ、な、なんだよ…」
ことりは郁に視線を向けた。
先程よりは頬の赤みはひいたものの、まだ赤い。
「意味、わからない。」
「…え?」
郁の声は、少しだけ震えていた。
「陽を見てると、可笑しくなるっ…」
「お、可笑しく?」
「…ドキドキする。」
それは、どういう事なんだろう。
ますますわからなくなる。
「他の奴と話してるところを見ると、苛立つ。」
「…。」
「俺、陽が…好きかもしれない。」
郁はその場にしゃがみこみ、大きく息をはいた。
…え?
今のって、告白?
ことりは耳まで真っ赤になっている郁を見て驚く。