強くて弱い誰かのおはなし
最初はささやかな物で、
靴を隠されたり、無視したり、筆箱の中の鉛筆が消えていたり
そんなものだった。

辛くはなかった。
ただ、それ以上に辛い事があった。

「ただいまー・・・」

夕暮れ、キユは家族の元に帰りたくなかった。
でも、帰らないといけなかった。
大好きな母。大好きな父。
喧嘩の絶えない毎日になってしまったその家庭には
最悪なものが待っていた。

母親からの、虐待。
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