蒼太と出会った駅前広場


どうしたものか、私は一人途方に暮れていた。
頼れる友人は悲劇のヒロインを演じるように涙目で走り去って行き、何ひとつ分からない私はただ立ち尽くすだけだ。


「都会ば一人は怖いけん……。どないしたら……」


とにかく、駅前で立ち尽くすのは良くないだろう。
私は目についた‘駅前公園’という看板目掛けて走りだした。
途中、履き慣れないヒールに転びそうになったが、それでも私は止まらず走る。
今は目的に向かってがむしゃらでいたかったから。


「都会には公園なんて無い思ったが……意外とあるもんねぇ」


緑の多い、よく整備された公園にはカップルが多く、一人で歩く事が恥ずかしくなってしまいそうだった。

その中で、私は見つけてしまったんだ。


一人だけでベンチに座っている

顔色の悪い男の子。













運命を感じたのは、内緒の話。
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop