愛しの姫の攻略方法
「憐。
悪いんだけどさ、校舎案内してくんね?」
隼人は、手を重ねてあたしに言った。
「うん、いいよ。
隼人極度の方向音痴だから、ちゃんと案内しないとね~」
「悪かったな、方向音痴で。」
むっとする隼人。
ははっと笑うあたし。
…隼人と居ると、空気が明るくなる。
やっぱり昔と、変わらないんだね。
隼人…。
「俺が案内してやるよ。」
この低い声の持ち主は…
はい。
後ろを見ると、やっぱり逢沢。
「そりゃどーも。
あんたは?」
笑顔で逢沢にそう聞く、隼人。
愛想いいなぁ。
“案内してやるよ。”とか、上から目線で言われても、ムカつかないんだ。
あたしならムカつくけどなー。
まぁ今は慣れたけど。
あの上から目線は、逢沢なりの言語だ。
相手をバカにしてるわけでもなく、ムカつかせようとしてるわけでもなく。
ただ単に逢沢の言語。
逢沢語?(←なんじゃ、そりゃ。by作者)