この空の下で
家に帰ってお母さんに美穂のことを話した。
「お母さん、美穂ね、春に岩手に引っ越す…ん、だっ…て。お父さんがっ、ね、転勤…」
涙が溢れた。
自分のなかで実感なんてそんなもの湧かなかった。
美穂がいなくなる??
そんなこと考えられなかった。
だけどなんとなくわかる。
美穂が遠くに行ってしまう。
なかなか会えなくなることも。
「貴方が泣いてどうするの?1番不安なのは美穂ちゃんじゃないの。1番悲しくて悔しいのは美穂ちゃんなんじゃない。」
そうなのかもしれない。
美穂はああやっていつも強がる。
私が1番分かっていたはずなのに。
少し落ち着いて
いろいろ考えてみた。
そう、これからだって離れたとしても
私の美穂の友情に変わりはない。
いつものように電話して
馬鹿言ったり、時には真剣な話ししたり。
近くにいられなくなったって
私は美穂が大好き。信じてる。
それだけは変わらない真実。
そうして
少し暗い長い夜が明けていった。