この空の下で





しばらくすると階段から足音が聞こえてきて振り返ってみると
そこには私服の溝口先生が走ってきていた。

「ひかる、お待たせっ。」

私は思わずじっと見つめてしまった。

なんてカッコイイんだろう…。
ちょっと腰より下にさげてるジーパン。
ジーパンもきっと着潰してる。
さりげなく肩からかかってる黒のショルダー。
下からみえるちょっとしたプリントがまたいい。

ちょっと寒そうに縮こまってる後ろ姿。
なんだか寂しげで愛しいくて…。


「おーい、ひかる。そんなに見つめられたら俺に穴が開いちゃうよ(笑)」

「あっ、すいません!!つい…いや、あの、見慣れなくて…。」

やっぱりカッコイイなんて言えなかった。
恥ずかしすぎるよ。


「さっ、行くよ。」

溝口先生は私の手を取って自転車の方へと連れていった。

その手がとても温かくて自然と頬に涙が流れた。

自転車を出しているのを後ろから見ながら思った。


私はもう、溝口先生を愛してしまっている。
好きとかそんな簡単な言葉では表せられない。


「ん??どうした??」

「ううん。目にゴミが入っちゃて…」




私にはこれ以上何も望めないくらいに幸せだった。

先生の帰ってく後ろ姿に手を振って心で叫んだ。

ありがとう。





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