この空の下で






だんだん二人に会うことが苦痛になっていた頃
幼稚園に溝口先生が様子を見にきた。

久しぶりに会えて本当は嬉しかった。
けど先生は私には声をかけずに
遊んでるさくらと香奈子のもとで
楽しそうに話していた。


私はできるだけ見ないように、
できるだけ近くにならないように
存在を消しながら仕事をしていた。


私は教室に戻りおやつの用意を手伝っているときだった。
ふっと、忘れ物に気づいて職員室に戻った。


『ひかる!!!』

先生の声だ。

私が振り向こうとしたときだ。

『せんせーっ。ちょっときてー。』


私が振り向いた時には
先生は二人の方をみて笑っていた。

あっ。
先生の笑顔。
久しぶりに見た。

思わず涙が流れ、あわてて拭き取り
すぐに教室に戻った。



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