この空の下で




いよいよ、発表。

ゆったりとした音楽のなか順位が発表されていった。
結局、結果は準優勝。
正直皆は喜んで泣いていたけど
私と美穂の涙は違った。


当たり前の準優勝。
頑張っても、頑張らなくても取れた準優勝。
優勝じゃなきゃ意味がなかったのかもしれない。


皆は勘違いしていた。
「よかったね。ひかる。頑張ったもんね。」
なんて言われるたびに悔しくて苦しかった。


教室に戻っても私と美穂は
涙が止まらず、教室に入れずに廊下に座り込んだ。

しばらくすると1番早く私達に気づいたのは溝口先生だった。
真顔でこっちに歩み寄ってきた。


私は恥ずかしくて顔を見ることができなかった。

「ひかる…?」

そう言って顔を覗くように顔を近づけた。


「先生、、私、、」

「なにも言わなくていいよ。全部俺は知ってるからな。お前らが毎日一生懸命頑張ってたことも、皆のために走り回ってたことも。」


先生。私、皆の力になれてたのかな?
怖いよ、不安だよ。


「ひかる、俺を見て。」
私はそっと顔をあげた。
するとそこには私の大好きな先生がいた。


「先生、私ね。悔しかったんだ。優勝できないって言われて。」

「ん?誰に言われたんだ、そんなこと?」

「…。」


言えなかった。先生じゃなきゃ言ってたかもしれない。
先生はきっとその先生のとこに行って怒ってくれるんだよね。


私はわかってたから、言えなかった。
先生を守りたいって思ったんだ、私。




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