セブンデイズ・リミテッド(仮)
「オレは何も知らない。逃げる方法を知ってるなら、教えてくれ!」
「みみ、かざり。――――これを、とる」
「? それがなっ?!」
■■、■■■―――!
あの叫び声が、再び聞こえる。
これは、あの黒い生き物の声なのか?
……どちらにしても、逃げた方がいいのに変わりない。
オレは無理やり、少女の手を引き走り出した。先へ進むと、目の前に、またあの生き物が現れた。別な道へ逃げ出すも、何処へ行ってもあの生き物が現れてしまう。
じわじわと追い詰められ、行き着いた先は――教会で一番高い、鐘がある場所。それでも逃げようと、悪あがきとわかって、オレは屋根の上を進んだ。
追い詰めるのが楽しいのか、それとも早く動けないのか。生き物はゆっくりと、距離を詰めてくる。次第に端へと追い詰められ、本当にこれ以上進めない状況に追い込まれた。いっそ飛び降りようかなんて考えが過ったけど、そんなことできるわけない。殺される度胸も、自殺する度胸も、オレは持ってないんだから。
「――――?」
ふと、下を見て朝の光景が頭を過る。ここは飛び降りがあった場所。落ちた場所は――ここからほぼ、真下なんじゃないかって。
もしかして……あの人も、これに追い詰められて?
嫌な考えが、頭を廻る。
今まで見ないよう……考えないようにしてきた。
『死』というものが、今、目の前にチラついてる。考えただけで気分が悪い。
これは夢だ。
夢でなければ……こんなの説明がつかない!