セブンデイズ・リミテッド(仮)


「ちょっ、ちょっと。処理って」

「私は――私のやるべきことをします」

「一体なっ!?」


 何を、と言いかけて、オレは言葉を止めた。

 周りの空気が、刺すような感覚に変わる。

 少女を見ると、両手に鎖をまとわせていて。鎖の先には、小さく尖った物が一つ、二つとついている。それは、まるで生きてるかのように、くるくる手の周りを回っていた。

 途端、さっきの言葉が頭に過る。「今は、あれを消すのが先です」と。だから、これから起きることは聞くまでもない。





 少女は……あれを消すんだ。





「もう一つ、聞いてもいですか?」





 足を止め、凛とした声で少女は問う。


「これは、私の力を試すものですか?」

「?――何、言ってるんだ?」

「あくまで言わない……と言うことですか? それはそれで構いません。ですが、これが終わったらゆっくりと、話を聞かせて下さい」


 そう言って、少女は消した。実際、本当に消えたわけじゃない。目で追えなかっただけだ。少しかがんだかと思ったら、一瞬のうちに、あの黒い生き物がいる屋根へ跳ねていた。

 ここからじゃ、何をしてるかわからない。目に見えるのは、大きな黒いモノだけ。





 ――ここにいて、いいのか?





 いや、よくはないはずだ。

 あの子は、オレを助けてくれた。今も、オレを護るために戦ってる。何ができるってわけじゃないが気になる。気になるのに……体が、言うことを利(き)かない。強張(こわば)った体は、いくら力を入れてもぴくりともしない。

 上からは、あの化け物の声だけが木霊している。
< 19 / 76 >

この作品をシェア

pagetop