セブンデイズ・リミテッド(仮)
「ちょっ、ちょっと。処理って」
「私は――私のやるべきことをします」
「一体なっ!?」
何を、と言いかけて、オレは言葉を止めた。
周りの空気が、刺すような感覚に変わる。
少女を見ると、両手に鎖をまとわせていて。鎖の先には、小さく尖った物が一つ、二つとついている。それは、まるで生きてるかのように、くるくる手の周りを回っていた。
途端、さっきの言葉が頭に過る。「今は、あれを消すのが先です」と。だから、これから起きることは聞くまでもない。
少女は……あれを消すんだ。
「もう一つ、聞いてもいですか?」
足を止め、凛とした声で少女は問う。
「これは、私の力を試すものですか?」
「?――何、言ってるんだ?」
「あくまで言わない……と言うことですか? それはそれで構いません。ですが、これが終わったらゆっくりと、話を聞かせて下さい」
そう言って、少女は消した。実際、本当に消えたわけじゃない。目で追えなかっただけだ。少しかがんだかと思ったら、一瞬のうちに、あの黒い生き物がいる屋根へ跳ねていた。
ここからじゃ、何をしてるかわからない。目に見えるのは、大きな黒いモノだけ。
――ここにいて、いいのか?
いや、よくはないはずだ。
あの子は、オレを助けてくれた。今も、オレを護るために戦ってる。何ができるってわけじゃないが気になる。気になるのに……体が、言うことを利(き)かない。強張(こわば)った体は、いくら力を入れてもぴくりともしない。
上からは、あの化け物の声だけが木霊している。