セブンデイズ・リミテッド(仮)
頼む……動いてくれよ!
体にムチ打つように、なんとか動かそうと試みた。それを繰り返すうち、一歩ずつだが、ゆっくり前へ進めるようになってきた。徐々に動きが滑らかになってきた時、オレはまっすぐ上を目指した。
教会の中を抜け、少女がいる場所まで走る。今度は途中、邪魔が入るようなこともなく、すんなり上へ辿り着いた。
「――――っ?!」
言葉が出なかった。見たのは、一人の男が鎖に繋がれている姿。男の周りには、黒い霧のようなものが取り巻いていた。
「これがっ……黒いモノの正体?」
「様子を見に来たのですか? すぐに終わりますので、もう少しお待ち下さい」
淡々と述べる間にも、男は逃げだそうともがく。でも繋いでいる鎖が、それをよしとはしない。
「あがっ……ぁ、ぐぅ?!」
「動けば、それだけ食い込みます。答えなさい。あなたは今日、ここで落ちた者ですか?」
「ぎ、ぎぎ……血っ。新しい、に、にくっ……肉ぅっ!!」
「半刻でその変化は在りえない。仲間が……否、あなたには主がいますね?」
「ぐっ……そ、そこっ……たべも、のっ!」
目が合った瞬間、あまりの殺気に体が硬直した。
黒目に赤。異様な瞳は、まさしく化け物そのもので。
――――ぴしゃ!
「間に合い……ましたね」
何かが、体にまとわりつく。
「油断しました。目覚めたばかりとはいえ……こんな相手に」
おそるおそる触って見れば。
「……ですがもう、容赦はしません」
紅い――とても紅い、血だった。