セブンデイズ・リミテッド(仮)





 怖かった。

 少女の腕に噛みつく男が。





 嫌だった。

 少女が代わりに傷つくのが。





 気が付いた時には、目の前にすごい形相の男がいて。声を上げることもできなかった。





「手出しは――させない!」





 噛みついた腕ごと、少女は屋根へ叩きつける。だが、それでも男は離れない。腕からは、どくどくと血が絶え間なく流れ出ていて……このままでは死ぬ、と誰が見てもわかるほど。少女の腕からは、大量の血が流れていた。


「しぶといっ……だったら」

「!? お、おい!!」


 少女は、男と共に落ちた。

 オレのすぐ目の前で、躊躇(ちゅうちょ)することなく。





「…………冗談、だろうっ」





 目の前の出来事が受け入れきれなくて、オレは頭を抱えた。

 こんな高さから落ちて……無事でいられるわけが!

 そう思ったら、さっきよりも体は早く反応を示してくれた。急いで下に行けば、そこには血まみれの少女が平然と立っていた。





 もう……かける言葉なんて無い。

 それだけすべてが突然で、受け入れられるものじゃなかった。





「――さぁ、早く本題に入りましょう」





 まだ困惑するオレの気持ちなど構わず、少女は手を引き、教会の中へオレを連れて行く。
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