セブンデイズ・リミテッド(仮)
「えっと……とりあえず、人間の味方ってことでいいのか?」
「はい。安心してもらっていいですよ」
「それはどうも。――じゃあ、次の質問したいんだけど」
「えぇ。答えられるものなら答えましょう」
「さっきのこの飾り……何の意味があるんだ? これを取ったら、急に姿が変わったし」
「それは、私を目覚めさせるスイッチのようなものです。と同時に、【契約を交わす】行為になります」
「つまり、今はオレと契約した状態?」
「はい、そうなります。――今度は、こちらから質問してもいいですか?」
頷くと、少女は今までとは違う雰囲気を放り、厳しい口調で問いかけてきた。
「あなたは……これを外しましたよね?」
「見てのとおりな」
「そこに疑問があるんです。これは何でもないことのように見えますが、大事なことです。あなたは――何か、特殊なことはできますか? 例えば呪術、悪霊・悪魔祓い、錬金術。又は、家系が普通とは違うとか」
「いや……ってかそれ、現実にいるのか?」
「さっきの私を見て、まだそんなことが言えますか?」
それを言われると、なんとなく納得せざるをえないかなと思う。
「もう一つ質問です。あなたはどうして、私の姿が見えたのですか? 最初ここに現れた私は、言わば幽霊のような見えない存在。なのにあなたは、私を見つけた。――どうしてですか?」
そんなことを言われても……見えたものは見えた、としか言いようがない。
普通に扉を開けたら、そこにいるのを見つけただけだ。
それを伝えれば、少女は腑に落ちない様子で、そうですか……と小さく呟き、それきり黙ってしまった。
ふと、少女の顔を見る。その眼差しは、扉の真上に飾られたステンドグラスを見ているようだった。
最初に見た時と同じ。とても綺麗で、とても穏やかで。
美しく仕上げられた、彫刻を見ているようだった。
その穏やかな時間が、今まであった出来事を忘れさせてくれるようで――オレも自然と、少女と同じ方を見た。
そこに描かれていたのは、二人の天使の姿。互いに向き合い、人々を招いているかのようで。扉に飾るには、その絵はまさしく相応しかった。