セブンデイズ・リミテッド(仮)
「――――!?」
振り返ると、ちょうど少女と目が合った。少し驚いたオレは、思わず目を背けてしまった。
「――楽しかったです」
不意に、そんな音声が耳に入る。
「人間と――いえ。誰かと会話をするというのは、とても久しぶりでした」
風に乗るような、やわらかな心地。それにオレは、聞き入っていた。
「すみませんでした。危険な目に合わせてしまって。ですが――もうこんなことはありません。あなたと会うのは、ここで終わりです。契約の解除は、あいにくわたしではわかりませんが、このままにしていても、あなたに影響は無いはずです」
だから、と言って、少女はオレに手を差し出す。
「どういう……意味?」
「耳飾りを、返して下さい。そのままにしてもいいですが、万が一、それを狙ってくるとも限りません。それにも、多少は魔力がありますから」
「…………わかった」
その時オレは、このまま終わるのが名残惜しかった。
これを持っていたら、また会えるかもしれない。あんな目に合うのは嫌だが、今みたいにこうして……ただ普通に、話したいと思った。
「では、これでもう私はあなたに関わりを持ちません。安心して、日常に戻って下さい」
そんなふうに言われたら……切なくなるだろうが。
扉へ歩いて行く少女。
これで本当に終わりだと思ったら……悲しさが込み上げてきて、
「――――待ってくれ!」
教会いっぱいに、叫んでいた。