セブンデイズ・リミテッド(仮)


「おはよう真道くん」

「うん、おはよ~」


 クラスの女子が、前の席の誠司に挨拶する。

 明るく挨拶をかえすそいつに、女子は少し嬉しそうな様子で立ち去った。

 性格も明るく、誰に対しても対等に接するコイツは、クラスの女子からも人気が高い。ファンクラブが存在している、なんて事も聞いたりするほどだ。


「なんかあの子、嬉しそうだったな」

「そう? まぁ喜んでもらえてるなら俺はいいけどね。透、君も女の子には優しくしなよ」

「オレだって普通に優しいっての」

「透が優しいのはわかってるさ。ただ、もっと明るくっての? 気軽に女子と絡めばいいのにって」

「いや、お前みたいに振舞うの無理だから」


 パンを食べ終え、ゴミを袋に入れながら答える。


「俺みたいにって、どんな振る舞いだよ。ま、それはいいとして――放課後遊ばないか?」

「いいけど? ただし、ナンパに付き合うのはごめんだからな」

「うっ!……」


 やっぱりそうか。

 まったく、こういう誘い方の時は主にナンパ目的だからなぁコイツ。



 ――――バチンッ!!



 突然、豪快な音が目の前から聞えたかと思えば、


「っつぁ~……」


 音の出所は、目の前で頭を手で押さえている誠司からだった。


「頭の中にはナンパしかないの?」


 呆れ気味に言うのは一人の女子。手にはカバンが握られているから、たぶん、これで誠司の頭を叩いたんだろう。だとすれば、中には教科書が入っているんだ。結構な衝撃が頭にきたに違いない。


「樋代……たぶん、今のは結構痛いと思う」

「大丈夫。これぐらいが誠司には丁度いいんだから」


 そうは言っても、誠司は未だ俯いたまま。いつもなら「痛いだろが!」なんて言うはずなんだが。
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