セブンデイズ・リミテッド(仮)
「――――おい、大丈夫か?」
あまりに黙ったままだから、心配になり声をかけた。
打ち所が悪かったんじゃないだろうか?
「だいじょうぶ……なわけないっ! ものすっごく痛かったんだぞ!? 当たったの金具の部分だし!」
「それはさすがに悪かったわ。ごめんなさい」
「ってか、何で叩くかなぁ……」
不満そうに、自分を叩いた樋代の姿を見る。
ま、叩かれた理由は容易に想像できるけど。
「たぶんいつもの事だと思うけど」
でしょ? と樋代の方を向くと、うんうんと頷いていた。
「いつもいつも、ナンパの事しか考えていないから。――全く、終業式の日までこれなんだから。神垣くんまで巻き込もうとしないの」
またいつもの説教が始まった。
こうなると長いから、オレはいつも見学することにしている。
「せめて口で言えよなぁ~」
「今まで何度となく言ってきました。あ、今更だけどおはよう、神垣くん」
「おほよう樋代」
「――――俺には挨拶代わりにカバンなわけね」
「最初からそんなつもりじゃないわよ」
「まぁもう過ぎた事なんだからいいじゃないか」
「この痛みがわからないからそんな事を言ってられるんだよ。親友なら、この痛みも共に味わえ!」
「じゃあ今から親友やめさせて頂きます」
「っ! そ、そんなつれない事言うなよぉ~」
「さらばだ誠司。短い友情だったな」
「その様子じゃあ、まだ知らないみたいね」
急に、真剣な口調になる樋代。
何のことだろう? と、誠司とオレは顔を見合わせた。