セブンデイズ・リミテッド(仮)


 歩道の先に見える人の中。そこに一人だけ、場にそぐわない装いをしている者がいる。いや、時期的にはある意味それでもおかしくないが、やけに気になって仕方ない。

 顔を隠すよう、深く被られたフード。体には布を巻きつけ、マントのように見える。


「なぁ誠司、あれって――?」


 横にいる誠司は、オレの声に気付かない。

 話しかけてる。声を出してるはずなのに。





 自分の声が――聞こえない?





 街の音も、車の音も。

 普段耳にしている音すべてが、この場から消え失せている。





 なぜだ――――?





 そう、頭は問いかける。だがオレは、それに答えることができない。考えても、理解しようがないからだ。

 オレはどうかしてるのか?

 不安になり頭を抱えれば、微かに、音が聞こえた気がして。



 ―――リン。



 鈴の音がする。それは耳元のような気もするし、遠くからのような気もする。どこからするのかと、オレは辺りを見回した。


「――――?」


 目に留まるのは――フードを被った人物。気になったオレは、ソイツをじっと見つめていた。
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