セブンデイズ・リミテッド(仮)


「何やってんの?」

「――はぁ。本当にオレ、今日疲れてんのかなぁ」

「よくわからないけど、考え過ぎるとハゲるよ?」

「いや、そこまで悩んでないから」

「今からハゲたら辛いよ~」

「ハゲの話しから離れろよ」

「今からカツラかぁ。うん、辛い現実だね」

「どうしてもその話し引っ張るのかよ」

「いやぁ~面白そうだったからつい」

「つい、じゃねぇよ。――またな」


「あぁ、気を付けて~」


 駅の入り口まで行き、誠司を見送る。オレは駐輪場に向かい自転車を取りに行くと、自宅へと急いだ。

 空は白み始め、もうすぐ雪でも降りそうな天気。帰りがけ、今朝話してた教会の前を通った。さすがにたくさんの人だかりができてて、誰かに突き落とされたとか、それが教会の関係者とか。リストラを苦にしてとか、様々な憶測が飛び交っていた。

 ――さっさと帰ろう。これ以上ここにいる必要はないと、オレは自転車の速度を上げた。

 部屋につくなり、眠気に襲われた。徐々に心地よくなる感じに我慢できず、布団へと身を委ねた。段々と重くなる目蓋。周りの音も聞こえにくくなり、何時しか意識は、ゆっくり落ち始めていた。





 ―――リン♪





 また、鈴の音――?





 ――リン、リン。





 やっぱりだ。

 また、鈴の音が聞こえる。
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