セブンデイズ・リミテッド(仮)





 ――――リン、リン、リン。





 ――リン、リン。





 ――…。


「? 消えた――」


 立ち止まり、その場に何か音を出すような物はないかと探していれば――見つけたのは、幹が丸々と太った木。枝は普通に細く長いが、根元近くの幹だけ、やけに大きく膨らんでいる。まるで卵を包んでいるような、そんなイメージだ。


「ここから、音がしてたのか?」


 木の中を吹き抜ける風が音を鳴らす、と言うのはよく聞く話だ。木の周りを調べると、ちょうど人が入れそうな程の空洞を見つけた。やっぱり、ここから音がしていたんだろうか。


「――――?」


 何か、奥に見えた。

 暗くわからないが、大きな何かがあるのはわかる。しばらく見ていると、その形が、朧げながら見えてきた。


「これって――!?」


 それは、人の形をしていた。お地蔵様か? と過ぎったが、あぁいうのはもっと胴長だし、祠とかだって作ってあるだろうし。どう見ても、それ以外の人の形にしか見えなかった。じっと見ていると、それの顔らしき部分もようやく見えてきた。顔は小さく、目は閉じたまま。作り物に見えないそれは……少女の姿をしていた。

 体には、傷か汚かわらないが、そんな痕が目に入る。けど、顔にはそれらしい痕は見られず、とても綺麗なもので。あまりに綺麗すぎて、目を奪われてしまった。

 救急車を呼ぶとか。

 警察を呼ぶとか。

 そんな考えに辿り着くまで、数分の時間を要した。まずとった行動は、自分の家まで走ること。途中誰かに会えれば一番いいが、人がいる気配が全くない。こんな時に、どうしてこうも人に出くわさないんだ?
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