セブンデイズ・リミテッド(仮)
少女の腹には、黒いモノの一部が刺さってる。引き抜かれると、そこから勢いよく血が流れ出る。力が抜けたのか、少女はその場に座りこんでしまった。
「!?…………君、は」
知ってる。
オレは――コイツを知ってる!
頭を巡る景色。
教会でも似たようなモノに襲われた。でも、コイツが護ってくれたからオレは助かることができた。命の恩人なのに……なんで今まで忘れてた?
「だい、じょぶ……それよっ」
「もうしゃべるなっ――?」
少女の目を見た瞬間、意識が遠退いた。
なぜ? と考える間は無く。意識は、深い底へと落ちていくしかなかった。
*****
少年と視線が絡むなり、昨日よりも強力な暗示をかけた。もしかしたら効果が薄いかもしれないけど、数分だけでもいい。大人しくしてくれれば、すぐに決着をつけて日常に戻すことができる。
「早くあそぼうよぉ~。せっかく待ってあげたんだから、相手してくれなきゃつまんないじゃん」
両手に鎖を出し、本来の属性に身を任せる。髪が色付き終えると、私は女の子を見た。
「――始めましょうか」
「やったぁ! それじゃあ、遊ぶならルール決めないと」
「ルール?」
「うん。かんたんだよ? 戦うのはお姉ちゃんと、わたしのペット。それでね、リーダーを倒した方が勝ちなの。こっちはわたしがリーダーで、そっちは――後ろにいる、おいしそ~なお兄ちゃんね?」
あははははっ、と女の子はその場でくるくると楽しそうに回る。
嫌な予感はしていた。この陣地に……否、昨日人間を見つけてから。
少年を誘いこんだのはこの子だろう。一人しか誘いこんでいないところを見ると、選りすぐって誘うタイプ。一人しかいないのは、ある意味好都合なことだけど。