セブンデイズ・リミテッド(仮)
「あっ、やらないなんてのはダメだからね! 言うこと聞いてくれないと――お兄ちゃん、食ベチャウカラ」
不敵な笑みを浮かべながら、凄まじい殺気が放たれた。どうやら、これからが本気ということらしい。
傷はとりあえず塞いだ。本格的に治すのは後回しにしよう。
「やるしかないのは解ってる。――早く、始めましょう」
「うん。それじゃあ――はじめぇ~!」
私にあるのは鎖だけ。対して、相手には強力な味方がいる。直接攻撃をしかけるか……いや、相手がどんな手を隠しているか解らない。うかつに行くのは、得策ではないか。
「逃げてるだけじゃつまんな~い。――そろそろやっちゃうよ?」
告げると、女の子は何やら唱え始めた。距離があるせいで、何をする目的のものかを断することができない。
「――――――フェシェ」
最後の言葉を述べると、目の前にいたモノは、二つに分裂した。
向かう先は少年。行かせまいと手を伸ばすも、掴むことができない。雲を掴むかの如く、それは、私の手をするりと抜けていった。
「これでわたしの勝ち~!」
自分に向けられたのと同じく、少年の上に、鋭く尖ったモノが迫っている。
人間があれをくらえば、生きていられるわけがないっ!
また……目の前で?
あの時と同じ。
また……護れない?
あの時と同じ。
余計なことが蘇る。
誰かが死ぬと言う怖れ。
自分が人でなくなると言う恐れ。
それは……私と言う殻に内包された、もう一つのワタシ。
受け入れなければならない事実。
それがあるから……私が私でいられて。
ワタシがワタシでいられなくなる。
力無き者は生き残れない。
【それが自然の摂理】
特異な者は生き残れない。
【それが人間の世界】
そんなの……とうの昔に解ってる――っ。