セブンデイズ・リミテッド(仮)
「お初にお目にかかります。私は今回、この辺りの不浄を取り除く担当となった者です。先程は挨拶に伺う前に敷地内で交戦してしまい、申し訳ありません……」
膝を付き、頭を下げる少女。目の前には何もいないが、コイツには神様とやらの姿が見えているんだろうか?
「――ほう。わざわざ挨拶に来るとは」
ゆらり、小さな光が現れる。それが一つの塊になると、
「お主をいれてもう一人いたかのう。挨拶をしに来た変わり者が」
琥珀色の瞳をした黒猫が、社の上に現れた。
「交戦は大目にみよう。大元は排除したんじゃろう?」
「はい。また現れる可能性はありますが、私が全て処理を行います」
「ならよい。――そこのお前」
猫にお前だなんて言われたくないが、一応これが神様らしいし……ここは我慢しておくか。
「お前、近所に住んでるじゃろう?」
「それが何か?」
「いやなに。昔のことをちょっとな」
尻尾を揺らしながら、猫は含んだ笑みを見せた。
何かあるなら言えばいいのに。
はっきりしない言葉に、オレは少しイライラしていた。
「では、私たちはこれで」
「なんじゃ、もう帰るのか?」
呼び止める猫(神様)に、少女は首を傾げた。
「私のような者とお話になりたい、ということですか?」
「他の神は知らんが、ワシはそういったことは気にせぬ性質(たち)でな。礼儀さえわきまえれば文句は無い」
どうやら、猫は暇つぶしの相手をしてほしいらしい。だが今は真冬の深夜。しかも風まで出てくる始末。オレとしてはこれ以上、こんなところに長居したくない……。