セブンデイズ・リミテッド(仮)
「なんじゃお主、いやに震えておるな?」
「何もせずじっと立ってたら、冷えると思いますけど……」
「そうかそうか。ではお主の家にでも行くか」
「はい?」
「聞こえなかったのか? お主の家に行くぞ」
ひょい、と地面に降りるなり、猫はオレたちを置いてさっさと歩いて行った。
「なんでオレの家なんかっ」
「神様には気紛れな方が多いので」
「ってか……神様が来る場合、何か出すべきなのか?」
猫の姿とはいえ神様だし、酒とかそんなのがないとキレたりするんじゃあ。
「こういったことは私も経験が無く……西洋の神様であれば多少はわかりますが、この国に関しては知識が万全ではないので」
とりあえず、待たせるのは悪いだろうとなり、オレたちは足早に境内を目指した。そこから神社の裏にある道に出ると、猫はやっと来たかと言うような表情を浮かべた。
「お主の家、あのアパートじゃろう?」
左前足で、器用にその方向を指す。猫が言ってるのは、確かにオレが住む家だった。
「早く案内せぬか。肉球が冷えて仕方ない」
ぶるっと体を震わせると、猫は少女に飛びついた。
神様って言っても、寒いものは寒いのか。こうして少女に抱かれてる姿を見ると、本当にこんなのが神様なのか疑問に思えてくる。
「言っておきますけど、ここ、ペット禁止です」
「気にするな。ワシは神様じゃ」
いや、どう見てもアンタ猫だから。
「なんじゃ。不満でもあるのか?」
「いえ、別に何も。……とにかく、騒いだりしないで下さいよ」
幸い、オレの部屋は角部屋。隣も今は空いてるし、下の人は夜勤だからとりあえず大丈夫だろうけど――っ!
「こら、勝手に入るな!」
ドアを開けるなり、猫は勢いよく中に飛び込んだ。