セブンデイズ・リミテッド(仮)
まさかアイツ、部屋の物あさったりなんてことっ!
「やはりこの時期はコタツじゃの~」
満足そうに、布団から顔を出す猫。そのあまりにもマッチした姿に、オレは吹き出しそうになるのをなんとか我慢していた。
「そ、そんなにっ。コタツが好きなんですか?」
「うむ。社に備えてほしいもんじゃ」
あんなところに無理だろうとは思うけど、否定はせず、オレも猫の隣に座りコタツに入った。
「君も入りなよ。寒いだろう?」
「――では、お言葉に甘えて」
申し訳なさそうに、向かいに座る少女。猫にもこれぐらいの遠慮があってほしいもんだ。
「それで、何の話をするんですか?」
「話すのはやめじゃ。ワシはここで寝るから、構わず団欒せい」
「いや、そんなこと言われても」
見れば、本格的に寝る体勢に入ってる。揺さぶってみたが、もう既に夢の中なのか、まったく反応がない……。まぁ、騒がれるよりはいいけどさ。
「君は――本当に名前が無いのか?」
特に話のネタが思いつかなかったから、さっき途中になってたことを改めて聞いてみた。すると本当に無いらしく、今まで天使からは、お前とか君だとか。固定した名前で呼ばれることは無かったようだ。
「呼ばれたい名前はないのか?」
「特にありません。不便だと言うなら、透が好きな名前を付けて下さい」
急に言われてもなぁ。適当なのを付けるわけにはいかないし。
「……考えておくから、今日のところはここまでってことで」
まだ頭も回ってくれないし、こんな時にいい名前なんて思いつきそうもないからな。
時間も時間だし、そろそろ休もうってことになったんだが、あいにく布団は一組しかない。女の子をコタツで寝かせるのは悪いから、オレがここで寝るって言ったんだが、
「私は使いです。そのように気を使うことはありません」
頑なに、布団を使うことを拒んだ。念の為、オレが使ってたから嫌なのかと聞いたが、そこは問題じゃないらしい。
「原点より上にいくってやつは、かなりの力を使うんだろう? しっかり体を労わらないと」
「余程の時でなければ睡眠は必要ないんです。嗜好のようなものですから」
これ以上言っても聞いてくれそうにないから、せめて、ここで横になって休むぐらいはということで話はまとまった。