セブンデイズ・リミテッド(仮)
「――やっぱ、今日は見回るよなぁ~普通」
台に隠れながら覗き見ると、そこには生活指導の先生が。
……見つかったらヤバいな。
先生の動きに注意しながら、ゆっくり階段の方へ歩く。この瞬間はドキドキものだ。なんせたまに、上で先生が待ち構えている時があるんだから。
「――よし。行くぞ」
周りを見渡し、先生がいないのを確認してゲーセンを出る。
他に行く所もないので、店に入るか? と聞くと、何かにとり憑かれたように、
「はぁ~新台……入ったその日に、やりたかった。――――あぁ~新台っ!!」
と、嘆いてた。
冬休みダメにしてまでか? とツッコミを入れたが、本人には全く聞こえていない。
……重症だなこりゃ。
「着替えてからまた来ればいいだろう?」
「それがダメなんだよ。今日は姉貴が帰って来るんだ。――帰ったら即、遊ぶ自由なんて無い! いやむしろ、普通に過ごせる自由があるかどうかも疑問だね!」
提案は、いともあっさり却下された。
ま、お姉さんが帰って来るならそれもわからないでもない。
「ならもう、潔く諦めることだな」
「うぅ~……せめて、攻略本だけでも見て帰りたい」
名残惜しそうに、何度も後ろを振り返る誠司。
めちゃくちゃ後ろ髪引かれてるよ。
呆れながらも、とりあえず、希望通り本屋へ足を運んだ。オレは誠司のようにゲーム本は見ないので、普通にマンガを読もうと二階へ向かい、一冊のマンガを手に取った。本を読んでいると、時々思うことがある。周りに人がいても、自分だけの世界に入ってしまう時があるなぁと。――言っておくが、別に危ない人ではない。
本当に時々……思うことがあるんだ。
手を伸ばせば掴めるのに、それがとても遠くに感じる。
人と人との狭間――そう、まるでそこは隔離された世界。