【短編】好き。

☆☆☆



白い生徒指導室の扉に耳を当てる。



「黙ってちゃわからんだろ!」



2人とも喧嘩の理由、話さないんだ。


田中は理由を話したら自分が悪いことが知られるから話さないのは分かる。


じゃあ、翔平は……?



「もう、いい!片方ずつ話を聞こうじゃないか。田中、ちょっと来い。前田はここで待ってろ」



え?ちょ、ちょっと待って!


慌てて耳を離すと、あたしは咄嗟に近くにあったロッカーに身を隠した。


てか、めちゃくちゃ狭いんですけど……


少しでも動いたら、ロッカーの扉が開きそうで怖い。



「…っ………」



先生と田中の足音が消えてからロッカーを出た。一息ついてからあたしは生徒指導室の中に入った。
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