【短編】好き。
翔平が来るまでの間、ただひたすらに祈り続けた。
「綾!」
はぁ、と深く息を吐いた翔平。おそらく走って来たのだろう。
「どう……だった?」
「うん。処分は、なしって」
「本当!?じゃあ退学には……」
「ならないって」
や、やったああああ!!
思わずギュッと翔平に抱き着く。それを翔平がしっかりと受け止めてくれた。
我ながら大胆。
「あのォ……」
げ!田中!?
いつからそこに!?
「早瀬、ごめん」
「へ?」
「ごめんなさい…」
目をパチクリさせるあたし。
「……いーよ、別に。田中のおかげで10年間の片想いが無事実ったし?」
田中があたしに告白(罰ゲーム)をしてくれたから、翔平と両想いになれた。