【短編】好き。
なんて、本当は嬉しいんだけどね。
こうやって、話しかけてくれたこと。
死ぬほど嬉しいんだよ?
翔平は、どう?
「――翔平!」
向こうに居る男子達が翔平を呼んだことで、翔平はあたしに眼鏡を返して行ってしまった。
あたしはその広い背中を見つめていた。
胸に、精一杯の愛しさと
手に、ついさっきまで翔平がつけていた眼鏡を握り締めて。
☆☆☆
びっくり仰天事件(?)が起きたのは、その日の放課後。
「綾、田中が呼んでる」
そう沙耶に言われたあたしは、さっさと帰る準備を終わらせて田中くんのところに向かった。
そしたら「ここじゃ話せないから」と、田中くんと裏庭へ。