変わらない夕焼け
海に着いて堤防に腰を下ろす
「雪、今何してる?」
「え?あぁ普通に会社員ですよ。そっちは大学っぽいな?」
『雪』今じゃそう俺を呼ぶ人は少なくなった
懐かしい響きに
なんか安心した。
「そ、大学生だよ」
やっとこっちをみて笑ったと思えば心なしか海凪の目が赤い
「何、お前、泣いたん?」
そっと海凪の頬に振れ、
目尻を触ると
冷たく冷えた肌とは対照的に
目元がとても熱かった
「な、泣いてなんか!」
「へぇ…?目ぇ真っ赤だけど?」
「これは…」
さっと両手のひらで顔を覆う
「あぁ、そっかお前昔から泣き虫だったからなぁー…。」
「だから…っ!!
…………ふられたの。彼氏に」
はぁ、とため息を吐いてから
諦めたように話しだす
彼氏いたのか。
「告白されたから、付き合ってみたの。
だけどなんか、二股かけられてたみたいで…ね」
あんな奴のために涙流すとか
馬鹿みたいよね。と
また、ぼろぼろと泣き出す
「あー。もぅ…。
あんまりこっちみないでよ…
泣き顔とか見られたくないし…」
ポタリポタリと落ちていく涙が
夕日を反射してオレンジ色に光る