変わらない夕焼け
「…なら、うちくるか?」
「…は?」
「何たって俺はお前の婿候補だからな?」
まぁ、よくある話だが
昔の俺達は結婚するとか言ってたわけだ
たしか、この場所で
花で作った指輪を交換してさ…
懐かしいな…
「な、何それ!そんな昔の話…恥ずかしいからやめてよ!もぅ、昔とは違うんだから…」
「案外、そーでもねぇよ?」
「は?」
「少なくとも俺は、だけど
性格だって何一つ変わってない。海凪も、泣き虫なのとか
変わってないじゃん?
俺の、海凪への気持ちだって
あの頃と変わってない…し」
なんでこのタイミングで言ってんだろ
弱った女に付け込むとか
ずりーなぁ…
「…何それ…口説いてんの?
生憎と…すぐ心変わりするような軽い女じゃないんだから。」
「それくらい知ってるし」
「…どうせ、
猫の世話する人が
いないからでしょ。
雪の、馬鹿」
「ははっ、ばれた?」
涙で濡れた顔を
こちらに向けてクスリと笑う
「海凪、好き」
「今更…遅い
それに、ずるい。
でも、
猫の世話くらいならしてあげる
…勘違いしないでね
…猫のためなんだから。」
「ハイハイ
猫のため猫のためー」
「ムカつく…」