すき、きらい、すき
千広side
途中なんて、ほとんど覚えていない。
一言言って緊張が解けたら、決壊したように言葉は溢れた…。
だけど、
気づいたら由衣に
「きらい」
と言われた……。
その由衣の声は震えていた…。
きっと泣きたいのを堪えてた。
意地っ張りな由衣のことだからな?
由衣の泣き顔なんて、見たくないし……。
てか、泣かせるつもりなんてなかったし。
ただ、あの笑顔を俺のものにしたかったんだ…。
なんて、今さら言ったって、言い訳で……。
分かってた。
由衣をただ困らせるだけ。
それでも伝えたのは、俺のズルさからだった……。
俺の本能で壊した関係は、俺の理性で保たなければならないんだ――。