すき、きらい、すき
「ちょ、由衣ちゃんっ!?」
友達の引き止める声が聞こえたけど、足は止めない。
だって、あんな光景見たくないし、涙なんか見られたくないし……。
あたしはたどり着いた屋上で、声を出さないように泣いた。
授業の始まりを告げるチャイムがなっていた。
「由衣、バカじゃねぇーの?」
後ろからした声は、俯いたままでも分かる……。
一週間聞いてないだけなのに、こんな懐かしい……。
「…バカなのは、千広だもん!」
あたしじゃないよ…。
「はぁ?」
「……何で、どうして、追いかけて来るのっ!?」
うれしい、とか思っちゃうじゃんか…。
ますます涙が出てきちゃうじゃんか……。
バカ千広…。