すき、きらい、すき
千広side
「それでねー、先生が…」
「…うん」
由衣の言葉に、俺は適当に相づちを打った。
今の俺はそれどころじゃないっての…。
心臓が痛すぎるくらいに脈を打っている。
あー、まじで緊張する。
窓際の机の上に俺達は二人並んで座っている。
手を伸ばせば届くくらいの微妙な距離の二人の間を、初夏の爽やかな風が通りすぎた。
それは、まるで俺と由衣の気持ちの距離のように感じた。
放課後の教室は夕日が射し込み、風がカーテンを揺らす。
そんなちょっといい雰囲気。
――だからだろうか?
いつもはケンカばっかの俺達だけど、由衣は楽しそうに、俺の左隣で笑ってる。
「あり得ないでしょー?」
「…うん」
俺は、また適当な相づちを打った。