すき、きらい、すき
千広side
由衣を追いかけて、屋上まで。
初夏の暑い日差しと、爽やかな風が吹く中で。
由衣は、ぽつんと突っ立って俯いていた。
……こうやって由衣は、見られないように泣くんだな…。
「由衣、バカじゃねぇーの?」
本当に、俺の気持ちなんて分かってない……。
なのに
「…バカなのは、千広だもん!…何で、どうして、追いかけて来るのっ!?」
とか言いやがる。
“好きだから”なんて柄にもないことを言ってしまいそうになる…。
けど、そうすれば由衣は困るだろうから言わない。
「お前が泣くからだろ?俺から離れたのに、由衣がまだ泣くからだろ…」
代わりに、由衣のせいにしてしまう俺は、やっぱりズルいと思う……。