光の姫は誰を選ぶ
「任務の内容を話してなくてすみません。ですが…」
フウタ君は一度言葉を止めるとあたしの方へと身体の向きを変えた。そして、あたしの両手を握ってジッとあたしを見つめる。
あたしはフウタ君の力強い瞳(め)に視線が反らせない。
フウタ君はゆっくり口を開いた。
「ですが…僕は貴女を、ヒカリを守る為に一緒にいるということを忘れないで下さい!」
「フウタ君…」
フウタ君の強い眼差しに強い気持ちが嬉しくて涙が流れそうになる。
「!?」
何者かの気配を屋上の入り口からしてあたしとフウタ君は素早く立ち上がった。
フウタ君はあたしを守るようにあたしよりか前に出る。
「この気配は…シャドウ?」
でもシャドウなら闇の王を倒したのだからもう存在しないはずだよね?
「これはシャドウであってシャドウではないです。とにかく言える事は完全に敵に僕達の存在に気付かれたということです」
フウタ君がそう言うと屋上の扉がガンッと大きな音を立てて外れた。
あたしとフウタ君は更に緊迫した表情で敵が来るのを待った。