記憶の中で…
ピリリリ…ピリリリ…
「ちょっと待って。電話だ。」
自転車を止め、電話に出た。
「はい。」
『ナツキ君?主治医だった山下だけど。今、電話は大丈夫かい?』
「はい。大丈夫です。」
『君の言ってた記憶喪失の子どもの事はわからなかったんだが、ちょっと気になる事があってね。君の手助けになるかどうかわからないが、一度こっちに来てもらえないだろうか。』
「気になる事?」
『ああ。』
「わかりました。じゃあ、月曜日にでも…はい。それじゃ…。」
「どうしたの?」
「主治医だった山下先生。月曜日、来て欲しいんだってさ。」
「ふーん。」
心が落ち着かない。一体何が分かったんだろう。早く知りたい。
その日の夜は眠れなかった。