記憶の中で…


一体何が正しいのか。誰が嘘をついてる?

もう、父さんに聞くしか方法が見つからない。



ハッと気づくと病院の中庭にあるベンチに座っていた。

「ユ…キ?」

ユキの姿がない。

「ユキ!ユキ!」

辺りを見回してもどこにもいない。

どこに行った?

その時、病院の中からこちらに向かって走ってくる姿が見えた。

「どこに行ってたんだ。黙っていなくなるなよ。」

「え?ちゃんと声かけたでしょ。ジュース買って来るって。はい。ナツキはコーヒーね。」

俺の隣に座って、プシュッと小気味のいい音をたててジュースを飲んだ。

「一口ちょうだい。」

「あれ、こっちの方がよかった?」

「いや、一口でいいんだ。」

「はい。」

こちらに缶を差し出すユキ。




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