記憶の中で…
告白《ナツキside》
家に帰ると明かりが点いていた。
「ただいま。」
玄関を開けると父さんの声がした。
「おかえり。遅かったな。今日は病院へ行く日だったのか?」
「いや。」
「…ユキさんと一緒か。相手は女の子なんだし、もう少し早く帰ったらどうだ?」
そんな事いちいち言われなくてもちゃんと送って来たよ。
ムッとして返事をする代わりに本題を切り出した。
「話…あるんだけど。」
「食事…まだなんだろ。先に食べろ。ビーフシチュー作ったから。」
食事を済ませてもう一度、「話がある。」と伝えたが、「明日早いから、今度の休みでもいいか?」と言われた。
「何で?何で今じゃ駄目なんだ。俺は今話したいんだ!」
「そんなに急ぐ事か?」
「ああ、急ぐ。もう10年も待ったんだから充分だろ?」