記憶の中で…
リビングを出ると寝室へ入り、しばらくすると白い紙を持って戻って来た。
「これを…見てごらん。」
これは…死亡診断書…?
そこには今から10年前の日付で書かれた、一ノ瀬夏樹の名前があった。
「何でこんなのがここに…?」
「ナツキを助けたからだよ。」
「?」
「確かに10年前、私たちには子どもがいた。生まれつき心臓が悪くてね、入退院を繰り返していた。ある日、ちょっとした風邪が元で肺炎を引き起こして、散々手を尽くしたが…駄目だった。
その時、母さんは悲しみのあまり、亡くなった事を認められなくて、夏樹は生きてると言い張ってたよ。
そして自宅に戻る途中に、ナツキが倒れているのを見つけた。」