記憶の中で…
俺のために両方の親が顔を会わせるなんて。どんな話をするんだろう。こっちが緊張する。
落ち着きのない俺を見て、ユキが茶化した。
「両家が揃うなんて、まるでお見合いみたいだねえ。そりゃ、緊張するよ。クスクス…。」
こいつ…他人事だと思って。
「俺にそんな事言うのはどの口だ?ああ?これか?」
そう言って頬を引っ張ってやった。
「い…いひゃひゃひゃ…いひゃいよ、ナフキ(痛いよ、ナツキ)。」
赤くなった頬を擦るユキに、「フン!」と言ってそっぽを向いた。
インターホンと共に、一ノ瀬の父さんが来た。先に来ていた高島の両親の姿を見るなり、両膝をつき深々と頭を下げた。