記憶の中で…


《ユキside》

二年生の夏休みになったら、ナツキはドイツの両親の元へ遊びに行くんだって。いいなあ。私も行きたい。

お伽の国みたいなところなのかな。確かお城も一杯あったよね?

お土産一杯買って来てって頼んじゃお。




ナツキがドイツへ発つ三週間前、エアメールが届いた。中には飛行機のチケットが。

往復二人分…?

不思議な顔をした私に、「ユキもおいで、てさ。」と言った。




ドイツへと旅立った私たちは、迎えに来てくれたおじさんたちに驚いた。

それはすっかり元気になったおばさんが、にっこり微笑んで両手を広げ、「久しぶり、ナツキ。」と言って抱き締めたから。

もう心配はいらない。おじさんもおばさんも前を向いて歩き始めてる。

私たちも自分の将来はまだわからないけど、精一杯頑張って生きて行こう。

お互いを信頼してたら大丈夫なんだよね?

おじさんの愛がおばさんを元に戻したように、私もナツキを愛していきたい。




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