記憶の中で…
「夏樹はどこに隠れたの?」
「…車…。」
「え…?」
「あそこに車が止まってて…『あぶないよ。』て言った。でも『止まったままだから大丈夫。』て車の荷物のせるとこにかくれた。」
夏樹のお母さんの顔が一気に青ざめていくのがわかった。
警察も近所の大人たちも皆で捜したけれど、見つからなかった。
来る日も来る日も捜したけれど見つからなくて、私が見た白い軽トラックという事以外、手がかりもなく、そのうち警察も捜さなくなった。
「あの時、私がもっと夏樹に駄目だと…言えば良かった。傍を…離れなければ良かった。
ずっと傍にいればこんな事にはならなかったのに。
私の…せい。夏樹がいなくなったのは私のせいなの。
夏樹に会いたい。会いたいよ。でも…どうやって捜せばいい?
誰か教えて。教えてよ――!う…あ、あ――!!」