記憶の中で…
今まで夏樹の事でこんなに泣いた事があっただろうか。
ナツキがいるにも関わらず、大声で泣いて、ずっと黙っていたナツキが口を開いた。
「ユキのせいじゃない。夏樹は自分で車に乗ったんだ。
駄目だと止められてもきっと乗った筈だ。
だからお前のせいじゃない。
もし俺がそいつで、今でもユキが自分を責めてると知ったら、きっとそう言うと思う。」
その言葉が心に染みた。
自分がどんな思いでいたかなんて初めて喋った。
後からわかった事だけど、私の声が母や妹にまで聞こえてたらしく、そっと部屋を覗きに来たらしい。
ナツキは口パクで「大丈夫。」と伝えて、母と妹が扉を閉めると背中を擦ってくれた。