記憶の中で…
次は借り物競争。ナツキの出番だ。
一斉にスタートして封筒を手に取ると、散り散りに目的の所へ散って行く。
ナツキは一直線に私の所へやって来た。
「ユキ、来い!」
え…?私?何て書いてあったんだろう。
ナツキが私の腕を引っ張ってゴールした。
係りの人に紙を渡して、間違いがないか確認してもらうと、その係りの人は私を見て「名前は?」と聞いた。
「桂木祐希。」と言うとニヤッと笑ったんだ。
そしてその紙に何かを書いた。
何なんだろ?
「ねえ、紙に何て書いてあったの?」
「さあ?」
「惚けてないで教えてよ。」
「やーだね。」
「もう!」
ぷーっと不貞腐れた。
借り物競争が終わった時、アナウンスが流れた。
『今から皆さんに紙に書いたのと、持って来たものが間違ってないか、一位になった人だけ確認してもらいます。』
「え!?おい、そんな事止めろよ!!駄目だって!」
珍しく焦るナツキ。
「あー、もう!」
頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。