記憶の中で…
『では三年生から。五組、大切な人ー。校長先生です。おー、これはヨイショでしょうか。二組、笛。これ、ブラバンのクラリネットじゃないですか。次は二年生です…。』
ナツキを見ると項垂れたまま耳を塞いじゃってる。
『最後一年生。一組、大切な人ー。桂木祐希さん…。』
え…?
それまでザワザワと笑い声なんか聞こえてたのに、一瞬にしてシーンと静まり返った。
そして次の瞬間、ドワーッと歓声が上がった。
「えー!何これぇ、告白ー!?」
「うわーすっげえ。やるじゃん、あいつ。」
「キャー、うっそぉ!」
もうその後は、やんややんやの大騒ぎ。
ナツキは「こんなの聞いてない。」と随分ぼやいていた。
ナツキ同様、私も皆から冷やかされながらも、最後の混合リレーになった。
「行こ、ナツキ。」
あれから全然私を見ない。
「先…行って。」
あまりの恥ずかしさにしばらく立ち直れないかも…。こういう時、男って駄目だよね。開き直れば楽なのに。
「これで最後だ。頑張って花咲かそうぜ。」
「おー!!」
皆で気合いを入れた。