記憶の中で…
「ナツキ。お風呂ありがと。」
「あれ。もう上がったの?よく浸かったのかよ。」
私の頬を触った。
「そんなに温もった感じじゃねーな。まだ制服も乾いてねーし、もっぺん入って来い!」
また風呂場に入れられちゃった。何だかナツキってお母さんみたい。クスッ。
照れ屋で、強引で、いたずらっ子で、子どもみたいで…。
やだ。まるっきり夏樹じゃんか。昔っからこういうタイプに弱いのか、私は。
今度はゆっくり浸かってから上がった。
「ナツキ、ありがと。ナツキも早く入りなよ。風邪引かないうちに…あ。」
リビングを覗くとそこに居たのはナツキのお父さんで、バッチリ目が合った。
「ご、ごめんなさい!お邪魔…してます。初めてのお家でこんな…お風呂、ナツキの服…えっと、えっと…。」